手すりの場所の決め方
2026/07/23
手すりを付ける場所は本人だけで決めない方がいい理由
「手すりが欲しい場所はありますか?」と聞くと、多くの方は「玄関に欲しい」「トイレにあれば安心」と、ご自身が困っている場所を教えてくれます。
もちろん、実際に生活している本人の意見はとても大切です。
ただし、手すりを付ける場所を本人の希望だけで決めてしまうと、使いにくい位置になったり、本当に必要な場所を見落としてしまったりすることがあります。
手すりは、ただ壁に取り付ければよいものではありません。
立ち上がるときの身体の向き、歩く方向、手を伸ばせる範囲などを確認しながら、その人に合った位置を決める必要があります。
本人が気づいていない危険もある
長く住んでいる家では、多少不便な場所があっても、その状態に慣れてしまっていることがあります。
例えば、玄関の段差を上がるときに壁へ手をついていたり、トイレから立ち上がるときに便器やペーパーホルダーへ体重をかけていたりしても、本人は「いつもの動き」と考えているかもしれません。
しかし、壁や家具、設備などは、身体を支えるためにつくられているとは限りません。
今までは問題なくできていた動作でも、筋力やバランス能力が低下すると、突然ふらついたり、転倒したりする可能性があります。
本人が困っていると感じている場所だけでなく、普段どこにつかまり、どのように動いているかを周囲の人が確認することが大切です。
希望した位置が使いやすいとは限らない
本人が「ここに手すりが欲しい」と指した場所が、必ずしも実際の動作に合っているとは限りません。
例えば、トイレで立ち上がるための手すりは、便器の位置や立ち上がる方向によって、適切な高さや取り付け位置が変わります。
玄関の手すりも、段差を上がるときに使うのか、靴を履くときに身体を支えるのかによって、必要な形状が異なります。
実際の動作を確認せずに設置すると、手が届きにくかったり、身体を無理にひねらなければ使えなかったりすることがあります。
手すりを設置する前には、本人に実際の動きを見せてもらい、どの場面で身体が不安定になるのかを確認する必要があります。
家族から見える変化も判断材料になる
一緒に暮らしている家族や、定期的に訪問している家族だからこそ気づける変化もあります。
以前より立ち上がるのに時間がかかるようになった、階段で足が止まるようになった、家具につかまりながら歩くことが増えたなど、小さな変化が手すりを検討するきっかけになります。
本人は「まだ大丈夫」「これくらいなら問題ない」と考えていても、家族から見ると危険を感じる場面があるかもしれません。
ただし、本人の意見を無視して工事を進めるのは避けるべきです。
家族が気づいたことを伝えたうえで、本人と一緒に必要な場所を確認することが重要です。
専門職が確認することで見つかる場所もある
手すりの位置を決めるときは、ケアマネジャー、理学療法士、作業療法士、福祉住環境コーディネーター、施工業者などに相談する方法があります。
専門職は、本人が困っている場所だけでなく、身体の状態や生活動線も確認します。
寝室からトイレまでの移動、玄関から外へ出るまでの動き、浴室でまたぐ動作など、生活全体を見ながら必要な場所を考えます。
現在は問題なくても、今後身体の状態が変化したときに使いやすい位置を検討できることも、専門職へ相談するメリットです。
実際に使う人を中心に、周囲と一緒に決める
手すりの設置では、本人の希望を中心にしながら、家族や専門職の意見も取り入れることが大切です。
本人にしか分からない不便があります。
一方で、本人自身が気づいていない危険や、周囲から見た方が分かりやすい身体の変化もあります。
「本人が希望した場所だから」という理由だけで決めるのではなく、実際の動作を確認し、誰がどのように使うのかを考えて設置しましょう。
アライブホームでは、札幌市・近郊で手すり設置や介護リフォームの相談を受け付けています。
理学療法士・福祉住環境コーディネーターが、身体の状態や住まいの状況を確認しながら、必要な場所や使いやすい位置をご提案します。
手すりを付ける場所に迷っている場合も、工事を決める前の段階からご相談いただけます。
この記事を書いた人:理学療法士・福祉住環境コーディネーター 渡邉優
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